前進あるのみ

自分の前を漕ぐ者は誰もいない快感、
全国のごく限られた人たちの間に
自分の名を知らしめる快感、
その感覚を味わうためにひたすら漕ぎぬいた。
そして表彰台に立った。
水上を滑るように進む。
ひたすら漕ぎ続けている瞬間は
余計なことを考える余裕など無かった。
余計なことは考えない。
余計なことは考えない。
余計なことは考えない。
今の頭の中は余計なことだらけだ。
余計なことを考える余裕が無くなるほど
ひたすら何かに夢中にならないと。